自閉スペクトラムとは、狭義にはアメリカ精神医学学会の定める実質的な国際的な医療診断のバイブルであるDM5上の診断名である“自閉スペクトラム症/自閉スペクトラム障害”(ASD)を指し、広義には自閉傾向のある当事者を指す。ここでは特に言及しない限り、狭義の意味で扱う。
厚生労働省によると、主な特性としては
等が挙げられる1)。
ただし、これらの特性は必ずしもすべての当事者に当てはまるわけではない
知的な遅れも言語発達の遅れもない自閉スペクトラムである、アスペルガー症候群の海外の当事者グループから、自閉スペクトラムの人の固有の認知を障害・劣ったものと定義することに対し抗議がなされており、「障害者福祉」という文脈で特性を矯正するより、社会的に自閉スペクトラムの特性を尊重したあり方を整える事が重要だという指摘がなされ、自閉権利運動として発展、やがてADHDや統合失調なども含有した、神経学的な特性(思考する方法や認知の違い)を障害ではなく、民族やジェンダー、人種のような社会的カテゴリの中での少数派として捉え、その権利を尊重した施策を行うことを求めるニューロダイバーシティ運動として発展している。
自閉スペクトラムはある/なしで二分されるものではなく、自閉傾向の度合いが連続体(スペクトラム)として分布していることから、自閉スペクトラム障害となずけられた。「自閉」は知的障害や言語発達の遅れがある自閉スペクトラムであるカナー型(狭義・原義の自閉症)に由来する。
自閉スペクトラムは遺伝性であるが、他の遺伝疾患とは異なり、非常に当事者の人数が広く、また単一の遺伝子が多数波と異なることにより引き起こされるものではない。このことと自閉スペクトラムの特性が強みとして働く状況があることから、自閉スペクトラムが淘汰されずに残った正常な差異だとする学説がある。
自閉スペクトラムは様々なデマ・民間療法の広報に利用されている