発達障害当事者wiki

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目次

自閉スペクトラム

自閉スペクトラムとは、狭義にはアメリカ精神医学学会の定める実質的な国際的な医療診断のバイブルであるDSM5上の診断名である“自閉スペクトラム症/自閉スペクトラム障害”(ASD)を指し、広義には自閉傾向のある当事者を指す。ここでは特に言及しない限り、狭義の意味で扱う。

特性

厚生労働省によると、主な特性としては

  • 相手の表情や態度などよりも、文字や図形、物の方に関心が強い。
  • 見通しの立たない状況では不安が強いが、見通しが立つ時はきっちりしている。
  • 大勢の人がいる所や気温の変化などの感覚刺激への敏感さで苦労しているが、それが芸術的な才能につながることもある。

等が挙げられる1) 。 ただし、これらの特性は必ずしもすべての当事者に当てはまるわけではない

またこれらの特性により、以下のような状態が生じることがある

負の影響をもたらす事が比較的多い状態

  • 対人コミュニケーションが苦手 (チャットなど、非対面の場合は相対的に苦手さが減る場合がある)
  • 定型発達の人への共感性が相対的に低くなる
  • 音がうるさく感じる
  • 光が眩しく感じる
  • 特定の衣服やマスクをつけることが相当に不快である
  • 特定の食べ物を食することが耐え難いほどの苦痛である
  • 嫌なことが忘れられない・フラッシュバックする

中立的・良い影響をもたらすことが比較的多い状態

  • 理工系を好むことがやや多く、また適性があることもやや多い
  • IT系の分野に対して強い適性がある場合がある
  • ルールを厳密に守る
  • 過集中の状態が発生することがある
  • 記憶力が高い傾向にある
  • 興味のあることには定型発達の人よりも高い集中力を示すことがあり、専門性を深めやすい
  • 物事のパターンを捉えることが得意な場合がある

  • 自閉スペクトラムに関するライフハック

  • 物事の理由を考え、理解するようにすると、他のことにも柔軟に応用できるようになる
  • 自分が関心を持っていること(こだわり)をきっかけにして、同じ関心を持っている人と仲良くなることで、楽しみながら人間関係を築ける

併発しやすい疾患

二次障害

差別によるストレスや特性などの影響により、二次的に下記のような精神疾患を発症する場合が比較的多い

  • うつ病
  • 強迫性障害

自閉スペクトラムに関係する法律や政令

国公立の教育機関では、(特別支援学校/学級でなくても)自閉スペクトラム障害の当事者に対して入学試験や在学時において合理的配慮を行うことが義務付けられている

自閉スペクトラムに関する医療・福祉機関

自閉スペクトラムに関する非営利組織(NPO)/ソーシャルビジネス

ニューロダイバーシティに取り組んでいる大学・研究機関・研究者 

国内

  • 筑波大学 (ニューロマイノリティの学生に対する支援を行っている。ニューロマイノリティの指導者を雇用している)
  • 東京大学 (コミュニケーションに関する授業を学生向けに提供している。ニューロマイノリティの指導者を雇用している。ニューロダイバーシティ理念とした活動が先端研で行われている。自閉スペクトラムをカミングアウトしている教員2)がいる)

海外

  • スタンフォード大学 

自閉スペクトラム当事者の雇用を行っている企業

ニューロダイバーシティを尊重した自閉スペクトラム当事者の雇用を行っている企業

国内企業
外国企業

  • スペシャリステルネ
  • Microsoft
  • SAP
  • Google
  • Amazon

自閉スペクトラム当事者を障害者雇用枠で比較的雇っている企業

自閉スペクトラムを「障害」と捉えることへの批判

知的な遅れも言語発達の遅れもない自閉スペクトラムである、アスペルガー症候群の海外の当事者グループから、自閉スペクトラムの人の固有の認知を障害・劣ったものと定義することに対し抗議がなされており、「障害者福祉」という文脈で特性を矯正するより、社会的に自閉スペクトラムの特性を尊重したあり方を整える事が重要だという指摘がなされ、自閉権利運動として発展、やがてADHDや統合失調なども含有した、神経学的な特性(思考する方法や認知の違い)を障害ではなく、民族やジェンダー、人種のような社会的カテゴリの中での少数派として捉え、その権利を尊重した施策を行うことを求めるニューロダイバーシティ運動として発展している。

名前の由来

自閉スペクトラムはある/なしで二分されるものではなく、自閉傾向の度合いが連続体(スペクトラム)として分布していることから、自閉スペクトラム障害と名付けられた。「自閉」は知的障害や言語発達の遅れがある自閉スペクトラムであるカナー型(狭義・原義の自閉症)に由来する。

アスペルガー症候群(AS)・広汎性発達障害(PDD)との関係

アスペルガー症候群や広汎性発達障害については、診断基準の作成者が当初想定していたよりも遥かに多くの人がこの基準に該当することがわかった。また、アスペルガー症候群の名前の由来である、アスペルガー症候群を発見したオーストリアの医師、ハンス・アスペルガー氏についてナチスに協力した可能性が示されたため、この病名には批判があった。アスペルガー症候群を障害とすることにも批判があった。また、カナー型自閉症・アスペルガー症候群・広汎性発達障害などについて、同じ障害の程度の差異があるだけであるという意見もあった。

そのためDM5ではアスペルガー症候群・広汎性発達障害(PDD)は消され、「自閉スペクトラム症/自閉スペクトラム障害」や「コミュニケーション症群 / コミュニケーション障害群」などに再分類された。

「症」か「障害」かの議論と批判

アメリカ医学界・及び日本医学界の翻訳では、自閉スペクトラムを「障害」と捉えるか「症」と捉えるか、あるいは他の捉え方をするかで論争があり、結果推奨される名称である「自閉スペクトラム症」に「障害」と付く名称を併記した、「自閉スペクトラム症/自閉スペクトラム障害」というものになった。障害と呼ぶ場合は、これを「障害」とするか、「障がい」と呼ぶか、「障碍」と呼ぶかでも論争がある。

一方で自閉スペクトラムに対し「障害」や「症」という呼び方をすることを疑問視し、ASC(Astictic Spectrum Condition,直訳:自閉スペクトラム状態)という呼称が提案されており、海外の一部医療・教育機関・ニューロダイバーシティの文脈などで使われている。

生物学的原因の複雑性

自閉スペクトラムは遺伝性であるが、他の遺伝疾患とは異なり、非常に当事者の人数が広く、また単一の遺伝子が多数波と異なることにより引き起こされるものではない。このことと自閉スペクトラムの特性が強みとして働く状況があることから、自閉スペクトラムが淘汰されずに残った正常な差異だとする学説がある。

自閉スペクトラムとデマ・民間療法

自閉スペクトラムは様々なデマ・民間療法の広報に利用されている

例えば

  • 狭義の自閉症の発見者カナ―が、自閉症の原因を「冷たい子育て」にあるとしたことから、親への偏見が起きた。のちにアスペルガー症候群の発見と普及に並行して、誤りであることがわかった。
  • 「ワクチンを打つと自閉症になる」というデマにより、多くの家庭がワクチンを打たなかったことでクラスターが起きた事例
  • 親学推進協会は自閉スペクトラム障害の原因は家庭環境にあると主張している
  • 一部の有機農業を推進する団体は「農薬のせいで発達障害が増えている」と主張している

自閉スペクトラムの著名人

Wikipediaにもこのトピックに関する項目があり、説明は発達wikiの方が詳しい(ことを目指している)ものの、網羅している人数はそちらのほうが多い。

当事者がカミングアウトしているケース

一般的に自閉スペクトラムであると言われているケース

  • ビル・ゲイツ (米Microsoft社の創業者) (本人のカミングアウトは見つかりませんでしたが、複数の社会的信頼のある情報源がビル・ゲイツ氏が自閉スペクトラムの当事者であるとする報告を紹介していました) 

自閉スペクトラムの概念が誕生する以前に死亡したため確認が困難なものの、残された記録から当事者であると示唆される人物

自閉スペクトラムに適性があると思われる分野

あくまで一般的な傾向であり、ここに挙げたものの中でも個人の特性や職務内容、環境などにより不向きである場合がある

IT系

  • プログラマー
  • デバッガー
  • ソフトウェアテスター
  • AI開発
  • エシカル・ハッカー

理数系

  • エンジニア

教育系

  • 研究者
  • 大学教授

福祉系

  • 自閉スペクトラム当事者へのカウンセリング

軍事系

  • 暗号解読

その他
単純労働系

  • マニュアル化された単純作業
  • 入力作業

専門的労働

  • 専門的な知識が必要になる職業
  • 芸術家(感覚過敏を併発している場合、独特な感覚が活きる可能性がある)
  • 高い集中力や熱意(こだわり)が必要な仕事

自閉スペクトラムを扱った作品

自閉スペクトラムと思われる人物が登場している作品

メイン/as.txt · 最終更新: 2024/07/28 15:10 by yuki (運営)